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第10回
・君は緑商会のプラモデルを知っているか?
・怪獣総進撃

2021-08-18

緑商会のロボット軍団
タイトル「怪獣総進撃」

東風力研究所だより(その10)

 東風主義も第10回を数えることになりました。
 30回を目標にやってきたが、まだ1/3か。とにかく、記事を書くのに格納庫からToyやら資料やらを引っ張り出すのが大変だ。
 最近、研究所が教授の子供の頃の写真くらい散らかってきてますね。出したものはちゃんと片付けて下さい。
 分かっているが、コレクションは「何もかも、みな、懐かしい」のだ。
 「ヤマト」を気取っている場合ですか!

■伝説のプラモデルメーカー 緑商会

 子供の頃は、プラモデルと言えば緑商会だった。通称「ミドリ」のプラモデルだ。
 何がそんなにお気に入りだったのですか?
 理由は4つある。まず、安い。後で紹介する「ブラックサタン」など、モーター別売とは言え100円だぜ、100円。少し時期はずれるが、バンダイの「マジンガーZ」が初版600円、マルイの「レッドバロン」が700円、アオシマの「スペクトルマン」ゼンマイ怪獣シリーズでも初版350円という時代だ。小学三年生の時の小遣いが300円の身としては、実にありがたかった。あの「キングモグラス」でも300円だからな。次に、完成後のToyとしてのクオリティが高い。馬鹿にする向きもあるようだが、100円ロボットシリーズの「ブラックサタン」は足を動かす、「スチールジャイアント」や「ミサイルロボット」は手を振るといった、走行以外のギミックもきちんと用意されていた。もちろん、キャタピラ走行、ドリル回転、ミサイル発射(時に自動で!)、麦球によるランプ点灯など多彩なギミックを有する「モグラス」シリーズの素晴らしさは言うまでもないことだ。
 教授の好きなバンダイ「モグリアン」なんか、電動のくせに実はタイヤ走行ですもんね。
 ああいう手抜きを当時の子供たちは許さなかったが、「モグリアン」に関して言うと史上初?の速度2段階切替があったので許す。もっとも、配線を誤り電池が加熱して火傷をした思い出しかないが。
 ミドリが大人向きにスケールモデルとして販売しているクラシックカーや戦闘機も、その多くがモーターやゼンマイで動くのですから、高い技術力があったのは間違いないと思います。
 3つ目は、高いSFマインドだ。イマイの「サンダーバード」に対抗して「スティングレイ」の国内商品化権を獲得してはいるが、SF路線は基本、オリジナル商品で勝負するメーカーだった。そして、そのコンセプトやデザインは、「タイガーロボ」などのロボットや、「ビートル二世」などのビークルでも、他社を圧倒していたと思う。そして最後は、企業としての良心だ。
 ??
 実は私の住んでいた街ではミドリの商品をあまり見かけることがなかったので、プラモとかカタログはミドリに手紙を書いて送ってもらっていたんだ。100円の「ブラックサタン」も切手を送って購入したのだが、何と本来別売であるモーターまで付けて送って頂いた。高々モーターと言うなかれ。100円の商品で商売している会社だぞ。当時、メーカーに手紙を出すと、子供だからと馬鹿にせず真面目に対応してくれるところが多かった。マブチから、わざわざ手書きの説明図を添えた返事を貰ったこともあった。あまり言いたくないが、これまでに私の手紙を無視したのは、現在勝ち組の大手1社だけだ。それからそのメーカーが嫌いになって、その会社からほとんどプラモデルを買わなくなった。
 手紙が届かなかっただけなのでは?
 もちろん、その可能性はゼロではないが、子供に寄り添うより利益の方が大事という企業体質を昔から感じるのでな。
 憎まれっ子世にはばかる、というやつですか。
 そうなんだよ。ミドリみたいな素晴らしい会社がつぶれるなんて、何て理不尽なんだと思った。紹介するハガキは以前、他人様のブログで紹介してもらったことがあるもので、例によって「タイガーロボ」を手紙で注文した時の返事だ。ヨーデルに金型を譲った旨が書いてあるが、何回見直しても切なくなるハガキだ。その後、ヨーデルが2倍の600円で「ヤングタイガーロボ」として発売した時は、本当に頭にきた(しかしプラモは買った)。

緑商会からのハガキ
緑商会からのハガキ。1974年。プラモデルの多くを製造中止したとある。
その後、チビコロシリーズなどの製造・販売を再開したが、1978年に倒産した。
時期は異なるが、ライトプレーン専門の会社としてやっていくという手紙もあった。
ヨーデル「ヤングタイガーロボ」
童友社「宇宙の騎士デルマック」

 その後、金型は童友社に渡り、なぜか「宇宙の騎士デルマック」として商品化されましたね。
 ああ、童友社は金型の多くを引き取り、「モグラス」シリーズも無動力ながら再販してくれた。あれはモデラーとして嬉しかった。ぜひ、「タイガーロボ」なんかも、昔の形で再販していただきたい。
 動力付きプラモデルの購買層がどれだけ存在するかでしょうね。
 う~ん、老若男女を問わず、いまだにガンダム、ガンダムの時代だからな。わが研究所の活動も、さらに活発化せねばなるまい。

愛すべきロボットたち 第6話「緑商会ブラックサタン

緑商会「ブラックサタン」

 という訳で、今回は緑商会のプラモデル「ブラックサタン」を紹介します。お気づきの通り、東風ジローの写真は、このプラモデルそのものです。
 ブラックサタンは、ミドリが得意とする車輪による走行タイプです。しかし、プラタイヤにある突起が足を動かすギミックがあり、限られた予算の中でも何とか子供たちを喜ばしたいという技術者の思いが伝わってきます。マブチ12モーターを使用していた初期タイプでは、モーターの一方の軸で目玉とアンテナを回転させるギミックまであったようです。
 ブラックサタンの特徴は真っ赤なビニールマントで、「ビッグX」や「ゲッターロボ」など、昔のヒーローにはマントを纏っているものが存在しました。ブラックサタンのマントは背中の電池BOXを隠すためでケチ臭いと評する人もいますが、本当にそうでしょうか?経済的な話だけなら、モールドするだけのプラスチックの方が安いはずです。従来のロボットとは異なる鉄仮面の様なルックスと、中世の騎士をイメージさせるマントは、私にはとても似合っているように思えます。
 この100円ロボットシリーズは、他に「スチールジャイアント」、「ミサイルロボット」の2種類があります。何れも前述のとおり、両腕を振りながら車輪で走行します。手持ちのブラックサタンとスチールジャイアントはそれぞれオークションで入手しましたが、現在のように取引価格が50,000円以上もしない時代でしたので、同時出品されていたミサイルロボットも落札すればよかったと今更ながら後悔しています。なお、写真のブラックサタンは分解してメンテが行えるよう、シールで胴体を仮止めしています。

緑商会「ブラックサタン」
二期の箱と説明書(モーターが変更された)

①②:「ミサイルロボット」は緑商会チビコロシリーズの「スーパーボーイ」、「スチールジャイアント」は同じく「アニマルボーイ」として再販されましたが、ともにプルバックゼンマイに改造されています。「ブラックサタン」のみチビコロで再販されておらず、3体の中では中古市場における取引価格が高くなっています。
③④:「タイガーロボ」と「ワンダーロボ」は、ヨーデルから「ヤングタイガーロボ」と「スーパーストロングロボ」として再販されました。「ヤングタイガーロボ」は成形色がオリジナルに近く、説明書もほぼ同一です。何れも、童友社の再販品「デルマック」と「メカロック」より市場価格が高くなっていますが、童友社の名誉のために付け加えると、童友社版の方が組立後の動作に問題が少ないと思います。
⑤⑥:「ファイアーマン」と「スターキングロボ」は、珍しくゼンマイ走行するロボットでした。それぞれ、チビコロシリーズの「ガッツマン」、「ガイガーマン」として再販されました。くるくる目玉に変更されましたが、手と足を動かしながら車輪で走行するギミックはオリジナルと同じです。写真の2体は、39年前に京都の模型店で直接購入したものです。
⑦⑧:ミドリには怪獣シリーズとして「ガルネラ」と「ゴレム」がありました(「ゴレム」は特にレアで、オークションでも滅多に出てきません)。ともに寸胴のゼンマイ動力ですが、なぜかタイヤ走行と二足歩行の2タイプがありました。「ガルネラ」のみ童友社から「ザ・ウルトラコング」の名前で再販されましたが、これは二足歩行するタイプで、オリジナルに付いていた目と口のシールはオミットされています。
:最後に『動くマンガシリーズ』より「赤胴鈴之助」。このシリーズにはロボット「サムソン」、「マンモスキング」、「ブラックエース」があり、前二者は二足歩行タイプですが、「ブラックエース」は100円ロボットと同じ車輪による走行を行います。「赤胴鈴之助」も同じです(ただしリモコン仕様、ゴムタイヤを使用)。なお、組立説明書をよく見ると、「ブラックサタン」と「ミサイルロボット」は『動くロボットシリーズ』となっていますが、「スチールジャイアント」のみ『動くマンガシリーズ』となっており、説明書のテイストも若干異なっています。

緑商会「スチールジャイアント」
スチールジャイアントの箱と説明書。説明書では「ミドリの動くマンガシリーズ」となっている。
「ブラックサタン」
「スチールジャイアント」

祝!帰ってきたウルトラマン放送50周年 勝手に記念 ソフビ電動化計画
(No.10 怪獣総進撃)

ソフビ電動化計画「怪獣総進撃」

 今回は、第1話「怪獣総進撃」に登場したタッコングザザーンアーストロンの3体を紹介します。この第1話は、東宝の怪獣映画を数多く手がけた本多猪四郎監督の手によるものです。次郎が「怪獣が出た」と叫びながら帰宅し、すぐ家を飛び出していく。連れ戻すため次郎を追いかける郷。飼っている鳩を逃がすため団地屋上の鳩小屋へ急ぐ子供。これらのシーンは、ウルトラシリーズでは珍しい人間目線での怪獣出現を描いた緊迫感あふれるシーンになっています。また、打ち鳴らされる火の見櫓の半鐘と逃げ惑う村人のシーンは、本多監督の真骨頂とも言えるもので、怪獣映画に匹敵するその重厚な演出は視聴者の心を揺さぶり、帰ってきたウルトラマンという新番組を軌道に乗せることに成功したのでした。
 それでは、順に怪獣を見ていきましょう。

ソフビ電動化計画「怪獣総進撃」オイル怪獣タッコング
2014年完成

オイル怪獣タッコング
 エクスプラス(X PLUS)製のソフビを使用しました。非常にリアルなソフビなので、外観を損なわずに歩行させるため、ぴょんぴょん飛んで移動する方式を採用しました。日本ホビーのスーパースプリングシリーズ「キジラ」、マルショウのノシノシウルトラマン怪獣シリーズが中国に流れたと考えられる中國福萬(福建)玩具有限公司(FUMAN)の「ピグモン」等のプラモデルを参考に、バネを使用したジャンプ機構を構築しました。
 本物のタッコングとは異なる歩行スタイルですが、重量があるソフビをうまくジャンプさせることができたと思います。


ソフビ電動化計画「怪獣総進撃」オイル怪獣タッコング
タッコング三面。足裏の突起の出入りによりジャンプする。
ソフビ電動化計画「怪獣総進撃」オイル怪獣タッコング

:タッコングのジャンプ機構。回転するスプロケットにより鉛直ロッドに付いている突起を持ち上げ、上部バネ(赤囲み)を圧縮する。突起がスプロケットより外れると、バネ反力により勢いよくロッドが下方へプッシュされる仕組み。
右上:「キジラ」の上箱とゼンマイ。特殊な歯車で足を離散的に動かす工夫がなされている。
右下:「ピグモン」の上箱と足裏。現在でも安くで入手可能だが、ピグモンのプラモデルはこれしかなく、意外と面白い動きをするのでお買い得かと思います。

ソフビ電動化計画「怪獣総進撃」ヘドロ怪獣ザザーン
2010年完成

ヘドロ怪獣ザザーン
 CCP佐竹雅昭コレクションのソフビを使用しました。廉価で非常によく出来たソフビなのですが、身体がスリムなので大掛かりな駆動装置を組み込めないことから、思い切ってタミヤ水中ギヤボックスセットによる水陸両用仕様としました。基本は真っすぐに前進するだけですが、水中モーターを使用しているのでお風呂でも遊ぶことができます。水面を泳ぐことを想定し、歩行車輪に水かき用の羽根をつけていますが、推力が弱く進みません。水面に浮かばせるためには内部に発泡スチロール等の浮き材が必要と考えられます。







:水中ギヤボックス、プーリー、ドライブベルトによるシンプルな歩行装置。
:側面。頭頂部のスイッチをひねるとONーOFFが切り替わる。
:背面。

ソフビ電動化計画「怪獣総進撃」凶暴怪獣アーストロン
2011年完成

凶暴怪獣アーストロン
 旧ブルマァクのソフビを使用しています。皮膚の表面仕上げなど良く出来たソフビですが、顔が可愛い過ぎるので、写真をスキャンしたリアルな目を張り付けています。歩行システムはいわゆるマルサン式ですが、胴体に嵌着されている両足の回転軸は一直線上になく、一軸のギヤでは歩行させることができません。このため、通常は足の胴体への取り付け角度を変える必要があり、「アーストロン」もガニ股になっています。なお、同プロジェクトの「グラナダス」では、足の取り付け角度をソフビから変えることなく、歩行させることに成功しています。そのメカニズムは、いずれ紹介したいと思います。
 このアーストロンは、ミストスプレーにより口から炎に見立てたミストを発射させようと悪戦苦闘しましたが、給水タンクの水漏れの問題をどうしても解決することができずにあきらめました。仕方なく、ZIPPOのフリント(発火石)を用いた火花を口から発するようにしています。


:オリジナルのソフビ。肌の質感が素晴らしい。
:タミヤのユニバーサルギヤを仕込んだ状態。

ソフビ電動化計画「怪獣総進撃」凶暴怪獣アーストロン

:ソフビオリジナルの顔と、実際の目(右下)。
:発火装置。砥石は100円ライターをばらして取り出したもの。ZIPPOのフリントはタバコ屋等で購入。

:完成後正面。足と胴体の間に部材を挿入し、足の取り付け角度を調整。左右脚回転軸の方向を一致させている。なお両足が電池BOXのため、下端に蓋の突起が見える。
:完成後背面。

「タッコング」
「ザザーン」
「アーストロン」


(教授のワンポイントアドバイス)

 緑商会ロボットプラモデルの歩行システムについて説明します。
 100円ロボットシリーズは、基本的にウォームギヤ+歯車2枚のギヤボックスで構成されています。ミサイルロボットは持っていないので未確認ですが、3体とも同じギヤボックスが使用されている可能性が高いです。何れもプラタイヤで走行します。
 一方、(ヤング)タイガーロボは、ウォームギヤ+歯車3枚のギヤボックスで構成されています。ヨーデル製は、恐らくミドリと同じギヤボックスを使用しているはずです。モーターには円筒型のRE-14が使用されていますが、童友社版は角型のFA-13に変更されており、ギヤボックスも新規製作(または別プラモデルからの流用)かと思います。何れのメーカーでもプラタイヤが使用されています。説明図から、両手と両足、アンテナを動かす巧みなギミックが読み取れます。当ブログのソフビ電動化計画は、こうしたミドリの可動部をかなり参考にしています。
 ガッツマン、ガイガーマンは、ゼンマイに直結したゴムタイヤで、ゴムタイヤに接するプラタイヤを回転させる珍しい機構が採用されています。このシリーズはプラタイヤが空回りするケースが多かったのか、プラタイヤにはめるゴムが後に追加されたようです。

緑商会ロボット組立説明図
左:ブラックサタン、中:スチールジャイアント、右:ミサイルロボット
緑商会ロボット組立説明図
左:ガッツマン、右:ヤングタイガーロボ
緑商会ロボットのギヤボックス
左:ブラックサタン、中:スチールジャイアント、右:ヤングタイガーロボ