第17回
・あの世の話と「伝説巨神イデオン」
・童話「ロボット・カミイ」
・無動力Toyを動かす(第3回)

東風力研究所だより(その17)
■「臨死体験」について

バオー・シューティングビースス・スティンガー・フェノメノン!!
何ですか、突然に。しかも、それはバオーではなく、ゲゲゲの鬼太郎の必殺技「髪の毛針」です!
いやいや、前回、この技を紹介し損ねたもんで・・・
水木しげる先生に謝って下さいよ。ところで、「知の巨人」と言われたジャーナリストの立花隆さんが4/30に亡くなっていたことが報道されました。
立花氏といえば、1974年に「田中角栄研究~その金脈と人脈」を発表し、田中首相退陣、ロッキード事件での逮捕へと繋がっていくのだが、それ以上に私が評価したいのは20年後(1994年)の著書「臨死体験」(出版社:文藝春秋)だ。この手の著者は通常、頭のネジがぶっ飛んでるか、新興宗教の教祖といったところで、一銭の価値もない書物ばかりだが、この「臨死体験」はさすがに立花氏だけあって、取材以外の主観的な記述を極力抑えた信用に足る内容になっている。
読後の感想は?
瀕死の状況にある人間の多くが臨死体験を経験するという事実、そして経験者の多くが夢ではなく現実の体験と認識している点に驚かされた。
では、あの世は存在すると?
事例は全て、実際に死んだ人間の経験談ではない(=死ぬ前の物語である)こと、また、アメリカ人はイエス・キリストに出会う、日本人は三途の川を渡るといった、多分に文化的・宗教的な経験内容が多いといった点からして、立花氏自身も懐疑的だ。
教授はどのようにお考えですか?
私は科学者なので、天国や地獄の様な世界が存在するとは考えていないが、肉体が滅んだ後でも、残り香のように意識や精神といったある種の情報が残る可能性はゼロではないと考えている。それは、我々が実は4次元より高次元の世界の住民であった場合、4次元(空間+時間)での存在が消失しても、残る次元で我々を構成する「部分」が存在する余地はあると思うからだ。
この世の延長みたいな世界は存在しないのでしょうか?
あの世が現世と連続していても、そうでなくても、あまり愉快な世界ではないと思うぞ。それは、簡単な思考実験から推測できる。例えば、幼くして亡くなった子供があの世へ行ったとする。では、あの世での意識は子供のままだろうか?あるいは、死んだ瞬間にスピリチュアルな存在に回帰し、成熟した意識を持つようになるのだろうか?
あの世では先に行った人たちと再会すると言いますから、死んだときの姿形や意識で存在しているのではないでしょうか?
では、あの世は年寄りだらけで、痴呆症の人も一杯いるというのだな。あの世の住人は、肉体的な苦しみからは解放されているが、精神的な苦しみには縛られたままだ。極端に言うと、脳に重度な機能障害を持って亡くなると、あの世でも意識がない可能性があるということになる。
そんなあの世は嫌ですね。死んだ人たちが平等に、平和的・健康的に暮らせる世界がいいと思います。
では、あの世では皆が本来の姿であるスピリチュアルな存在に戻るとしよう。その場合、この世で自我を形成する要因となった家族や友人との人間関係、遊びや仕事といった人生経験などは全てご破算となり、何もかも忘れて心安らかに暮らすという訳だ。自分を殺した犯人と談笑するようなシチュエーションがあるかもしれないぞ。
自分を失ってしまうなら、あの世へ行けるかどうかという議論は無意味な気がします・・・
さらに、あの世には人間だけが行く訳ではあるまい。蚊やゴキブリもスピリチュアルな存在に戻るとなれば、細菌や植物まで含めた全ての生命体の、この世での存在意義について考え直さなければなるまい。あの世のことだけを考えればよいという話にはならないのだ。
どうも、簡単に答えを出せる問題ではなさそうですね。
あの世が存在するかどうかは誰にも分からないし、考えるだけ無駄という人もいるだろう。ただし、上記の思考実験のように、死んだ後の意識がどう変化するのかといった観点から考えることは、この世での自身の存在意義を問うことに帰着するため、決して無意味なことではないと思うぞ。
■少しだけ「伝説巨神イデオン」
教授が「機動戦士」より好きな「伝説巨神」ですね。
死んだら好きな人と一緒に、新しい生命の種となって宇宙を飛翔するという映画のエンディングは印象的だったな。TV版は突然の打ち切りで残念だったが、とにかく主題歌もBGMも素晴らしい作品だった。
「Xボンバー」同様、またCM動画をUPしてますね。
アイキャッチの「イ~デオ~~ン」というコーラスが、CMでは変なので聞いてほしい。あと、現在でもDVDやBDに収録されていない最終回のエンディング(本放送時に録画)もUPしたかったのだが、著作権者からクレーム受けるのが嫌なのでやめました。また、別の機会に。
右:映画「THE IDEON 発動篇」(1982年 TV録画より)
※TV版、劇場版ともに、エンディングは人類の輪廻転生を描いた。TV版のラストシーンでは、カララとベスの子供がスターチャイルドとして誕生したことが描かれた。映画版のラストでは、ファンに人気のキッチ・キッチンが現れ、死んだコスモを口づけで目覚めさせる。
愛すべきロボットたち 第9話「ロボット・カミイ」
ロボットは死ぬとどうなるんでしょう?
ロボット人生が不安になったのなら、今回紹介する「ロボット・カミイ」(作:古田足日、画:堀内誠一、出版:福音館書店)を読むとよい。私の小学校低学年時代の愛読書だ。
お気に入りのポイントを教えてください。
幼稚園で仲間外れになったカミイが、お店屋さんごっこで商品を2つしか作れず、客が来なくて涙するシーンが印象的だ。子供時代には、ああいうことが実体験としてあるんだな。カミイは幼稚園の友達を助けるためにダンプカーに轢かれてしまうのだが、ラストはなかなか感動的だぞ。
初版は1970年3月10日発行ですから、長く読み続けられている童話ですね。
嫌われ者のロボットが最後はみんなに愛されて旅立つという、少しセンチメンタルな話だ。ぜひ、子供に読み聞かせてあげて欲しい。
早速、読むことにします。
左:カミイが作ったちびゾウが描かれたテレビと電気スタンド。右:お客が来ないので泣くカミイ。
無動力Toyを動かす(第3回)バンダイ編
今回は、バンダイから無動力で再販されたロボットプラモデルの動力化について紹介します。
1)「グレートマジンガー」再販プラモ

オリジナル(単体)は1974年に900円で販売されました。「Aucfree」による過去5年間の調査結果は以下のようになっていますが、再販品の可能性があるものは除外しています。私自身の主観に基づく取捨選択のため、誤りがあるかもしれません。ご容赦下さい。
【グレートマジンガー単品】
・未組立品 5件の出品で平均落札価格は約32,000円
・組立済みジャンク品 1件の出品で落札価格は27,000円
・組立済み品 1件の出品で落札価格17,000円
【グレートマジンガー秘密基地】
・未組立品 8件の出品で平均落札価格は約37,000円
・未組立ジャンク品 1件の出品で落札価格は19,000円
同じ「Aucfree」による過去5年間の調査で、未組立品の平均落札価格が約35万円(6件出品)の「マジンガーZ」に比べ、随分とリーズナブルな印象です。両者の差は、キャラクターの人気の差によるところもありますが、「グレートマジンガー」が1998年に再販(無動力、2,000円)されたのに対し、「マジンガーZ」は未だ再販されたことがない点も大きいと思います。「グレートマジンガー」は「マジンガーZ」の金型を改修したという説がありますが、そうでなくても恣意的に再販しないのでない以上、「マジンガーZ」の金型は損傷または紛失している可能性があり、今後も再販されない可能性が高いと思われます。
バンダイは「グレートマジンガー」の他、多数の電動ロボットプラモデルを再販していますが、全てが無動力です。同じ時期に童友社が緑商会のモグラスシリーズを数点、無動力で再販していますが、事情は異なります。童友社の場合、金型は引き取っていますが、あくまで他社製品の復刻です。また、モグラスシリーズのギヤボックスは手の込んだものが多く、動力部の復刻まで望むのは少し酷な気がします。それに対してバンダイは自社製品の再販であり、オリジナルのギヤボックスは簡易な構造のため、プラギヤ等による復刻は容易であったと思われます。ディスプレイモデルとしてはほとんど価値のない旧製品を無動力で再販するという感覚は、バンダイがターゲットと考える購買層の私には理解しがたいところがあります。日東のガメラシリーズを自社製ギヤボックスを使って何とか電動で再販したアリイの情熱を見倣って欲しかったと思いますが、皆さんはどう思われますか?


さて、肝心の動力部については、タミヤの「ユニバーサルギヤボックス」と「クランクアーム」を使用しました。疑似足(ピンウォークのピン)の回転中心をオリジナルと同じ位置にすると、このクランクでは可動幅が大きくなり過ぎて足の中に納まりません。そこで、回転中心を下げてオリジナルと同じ可動幅に調整しました。
2)で紹介するゲッターロボと同様、「マジンガーZ」も「グレートマジンガー」もオリジナルはギヤの枚数が2枚と少なすぎるため、いくらウォームギヤを使っていてもクランクの回転が高速すぎて気が狂った様な歩行になっていました。
今回、ユニバーサルギヤボックスのギヤ比を最大とし歩行速度を落としていますが、足に入っている単二乾電池2本を持ち上げながらの歩行は厳しい様子です。オリジナルは鋼製のウォームギヤを使用していましたが、モーターの負荷は如何ばかりだったかと思います。
2)「ゲッター2」再販プラモ

オリジナルは1974年に900円で販売されました。「Aucfree」によるゲッターシリーズ過去5年間の調査結果は以下のようになっています。
【ゲッター1】
・未組立品 11件の出品で平均落札価格は約29,000円(max58,000円)
・組立済みジャンク品 2件の出品で平均落札価格は約17,000円
・組立済み品 2件の出品で平均落札価格は約17,000円
【ゲッター2】
・未組立品 8件の出品で平均落札価格は約23,000円(max30,000円)
・組立済みジャンク品 2件の出品で平均落札価格は約7,300円
・組立済み品 2件の出品で平均落札価格は約14,000円
【ゲッター3】
・未組立品 9件の出品で平均落札価格は約56,000円(max80,000円)
・未組立ジャンク品 1件の出品で落札価格15,000円
・組立済みジャンク品 2件の出品で平均落札価格は約22,000円
こうして見ると、中古市場では「ゲッター3」の人気が一番高く、次いで「ゲッター1」、「ゲッター2」という順になります。子供の頃、私はへそ曲がりだったので、皆が「ゲッター1」を買っている中、「ゲッター3」を買いました。キャタピラで走るという姿は衝撃的だったので、私の完成品を見てあわてて「ゲッター3」を買う友達もいました。なお、当時も「ゲッター2」が一番不人気でした。
ゲッターシリーズは、バンダイから1999年に無動力で再販されました(全て2,000円)。私は、「ゲッター2」の組立済みジャンク品を2013年に6,000円、再販品を600円で落札し、電動化に挑みました。オリジナルのギヤボックスを使用すれば良かったのですが、それではつまらないのでオリジナルと同じ寸法、ほぼ同じギヤ比のギヤボックスを自作しました。私感ですが、バンダイのプラモデルは材料の問題か、部材厚の問題か分かりませんが、昔から他メーカーに比べ熱に弱いという印象があります。小学校時代の「マジンガーZ」は、病気で休んでいた私のために友人たちが家に持ち帰ってきれいに塗装してくれたのですが、ドライヤーで乾燥中、熱で足の部分がぐにゃりと曲がってしまったらしく、大変気まずい雰囲気になってしまいました(現在、同じ事故が起これば、私の熱は45℃くらい迄上昇するでしょう)。今回の「ゲッター2」も、信じられないくらいの低温でプラ製の疑似足がだらんと伸びてしまい、元に戻すのに苦労しました。なお、この「ゲッター2」は、私のスキルも少し上がった2013年の製作ですので、ボディの接合をビス止めにしていますが、ビスが目立たなくなる様、上手く処理できたと思います。

3)「ゲッター3」再販プラモ

最後は「ゲッター3」を紹介します。このファンキーなルックスと、キャタピラで走行するという破天荒さは、電動プラモデルの世界でも唯一無二の存在でしょう。また、手を振るギミックもよく考えられており、感心してしまいます。
電動化については苦労する要素は少なく、ユニバーサルギヤボックスをジャガー号(水色)にセットすれば終わりという感じです。ただし、電池BOXとなっているベアー号(黄色)と、ベアー号を支えるイーグル号(赤色)との間にがたつきがあると通電しないので、組立精度には注意が必要です。それから、黄色の塗装は本当に塗料のノリが悪いので、ベアー号が厚塗りにならないよう注意下さい。
