第18回
・小林亜星と「太陽戦隊サンバルカン」
・「素浪人花山大吉」
・無動力Toyを動かす(第4回)

東風力研究所だより(その18)
■小林亜星と「太陽戦隊サンバルカン」
作曲家の小林亜星さんが5/30に亡くなられました。
また一人、偉人がこの世を去ったか・・・亜星さんの功績は数えきれないほどあるが、当研究所に関係するところで言うと、多くのアニメ主題歌を作曲している点だ。私が口ずさむことができるものだけでも、以下の作品だけある。私が特に気に入っているのが、「ボルテスVのうた」だ。
♪~ボルテスVに 全てをかけて やるぞ力の 尽きるまで 地球の夜明けは もう近い~♫
(作詞:八手 三郎、作曲:小林亜星、歌:堀江美都子・こおろぎ’73・コロムビアゆりかご会)
・狼少年ケン(1963/11~1965/8):「狼少年ケンのテーマ」
・魔法使いサリー(1966/12~1968/12):「魔法使いサリーのうた」
・001/7おや指トム(1967/4~1967/9):「001/7おや指トム」
・河童の三平 妖怪大作戦(1968/10~1969/3):「妖怪大作戦」
・ひみつのアッコちゃん(1969/1~1970/10):「ひみつのアッコちゃん」/「すきすきソング」
・キックの鬼(1970/10~1971/3):「キックの鬼」/「キックのあけぼの」
・怪傑ライオン丸(1972/4~1973/4):「風よ光よ」/「ライオン丸がやってくる」
・科学忍者隊ガッチャマン(1972/10~1974/9):「ガッチャマンの歌」/「倒せ!ギャラクター」
・ファイヤーマン(1973/1~1973/7):「ファイヤーマン」
・ドロロンえん魔くん(1973/10~1974/3):「ドロロンえん魔くん」/「妖怪にご用心」
・まんが日本昔ばなし(1975/1~1994/3):「にんげんっていいな」
・宇宙の騎士テッカマン(1975/7~1975/12):「テッカマンの歌」/「スペースナイツの歌」
・超電磁ロボ コン・バトラーV(1976/4~1977/5):「コン・バトラーVのテーマ」/「行け! コン・バトラーV」
・超電磁マシーン ボルテスV(1977/6~1978/3):「ボルテスVのうた」/「父をもとめて」
・花の子ルンルン(1979/2~1980/2):「花の子ルンルン」/「女の子って」

それで、何で亜星さんが戦隊ものに出演しているんですか?
知らないのか?亜星さんの息子の小林朝夫氏が、「太陽戦隊サンバルカン」(1981/2~1982/1)のバルパンサーこと豹朝夫役で出演していたのだ。その縁で、第38話に朝夫の父親役(亜星でなく朝太郎という役名)でゲスト出演したという訳だ。
「サンバルカン」は「秘密戦隊ゴレンジャー」、「ジャッカー電撃隊」、「バトルフィーバーJ」、「電子戦隊デンジマン」に次ぐ戦隊シリーズ5作目ですね。どういう訳か、レッド、ブルー、イエローの3人だけで、しかも女性メンバーがいませんね。
実験的意味合いの強かった作品だが、女性メンバー不在でファンの反発が強かったのか、以後のシリーズで女性が出演しなかった作品はない。しかし、嵐山長官役で岸田森氏、前作に続いてヘドリアン女王役で曽我町子氏がレギュラー出演するなど、東映が力を入れて制作した作品だった。ただ、主題歌や挿入歌は全て渡辺宙明氏が作曲していて、それはそれで素晴らしい作品が多いのだが、小林亜星氏の出番がなかったのは少し残念だったかな。
右上:亜星氏が暴れると、「寺内貫太郎」状態である。
左下:息子の小林朝夫氏。役者をやめてからは色々あったようだ。
左:嵐山長官役の岸田森氏。本作品は、氏が愛した特撮モノの遺作となった。
中:スナックサファリの風景。手前は矢沢 助八役で準レギュラーの山田隆夫氏。
右:現参議院議員の三原順子(現じゅん子)氏もゲスト出演。
さて、戦隊モノと言えば決めポーズということになりますが・・・
「宇宙船」(朝日ソノラマ)でも昔やっていたが、連続写真を用意したので夏休みに習得してくれ。お薦めは「バルシャーク!」だ。
そんな古い戦隊モノに興味ある人は少ないと思いますが・・・
以下、「太陽戦隊サンバルカン」第37話「日見子よ」(TV録画より)










■「素浪人 花山大吉」
左:大吉にからかわれ、怒る焼津の半次、右:「このくそったれ、おから野郎!」おからに目がない大吉に得意のフレーズで食ってかかる半次
何でいきなり、時代劇なんですか?
うん、「サンバルカン」で3人組を紹介したので、私の家族全員が好きだった時代劇の2人組も紹介しようと思って・・・基本的に時代劇は小さい頃からよく観ていたが、この「素浪人 花山大吉」(1969/1~1970/12)と前作の「素浪人 月影兵庫」(1965/10~1966/4、1967/1~1968/12)は、好きな作品ベスト3に入る傑作だ。
両作品とも主演は往年の名俳優、近衛十四郎さん(1914~1977)ですね。
2017年に75歳で亡くなった俳優松方弘樹氏のお父君だ。つまり「ウルトラマンメビウス」で、アイハラ・リュウ隊員を演じた仁科克基氏のおじいちゃんということになる。まあ、近衛氏の殺陣も見どころだったのだが、2作とも品川隆二氏演じる焼津の半次との掛け合いが面白くて・・・
DVDも出ていないようですが、ここに出ている写真は得意のTV録画ですか?
うむ、倉庫からVHSを発掘したのだが、いつ録画したのかも分からん。少なくとも衛星放送なんかない時代に、ローカル局の再放送を録ったものだろう。時代劇専門チャンネルなら視聴のチャンスがあるようなので、ぜひご覧ください。

要らぬお世話さ どっちへ行こうと 天下御免の 浪人ひとり でっかい青空 背中にしょって 曲道でも♪


向こう意気なら 焼津の半次 引けは取らねえ 風来坊 それがどうした 男に惚れた 腕もきっぷも 腕もきっぷも♪

無動力Toyを動かす(第4回)SFビークル編(その1)
今回は、キャタピラで走行するSFビークルTOYの動力化と修理の事例を紹介します。

1)「マグマライザー」プラモデル(フジミ模型)
2001年にフジミ模型から3,600円で発売されたプラモデルで、前面のドリルと両サイドの削岩ドリルが電池で回転、さらに前面4ヶ所に麦球を配するなど、遊び心に満ちたディスプレイモデルになっています。もし、これでクローラー走行すれば、マルザンから発売されていた電動「マグマライザー」と並びプラモ史に名を刻む存在になっていたかもしれませんが、残念ながらキャタピラは成形されたパーツとなっており走行しません。
この「マグマライザー」は、動力を仕込み走行させているモデラーの方が多くいます。電動戦車プラモデルの動力部を転用する方法も考えられますが、私はボディにギヤを強引に設置する方法を選択しました。当時、タミヤの「ミニモーター多段ギヤボックス」や「ミニモーター薄型ギヤボックス」があれば苦労しなかったのでしょうが、ボディに直接ギヤを取り付けていったのでギヤ同士の干渉でうまく作動せず、ギヤ位置の調整に追われました。また、元のドリル回転スイッチは、後部の排気筒らしき部品となっていますが、何回か遊んでいるとあっけなく壊れたので、ボディ裏面に新しいスイッチを取り付けました。
フジミの「マグマライザー」は何回かリニューアルして販売され続けていますが、最新のものはとうとうドリルの回転ギミックや電飾がなくなってしまいました。今でも元気にクローラー走行する私の「マグマライザー」を眺めていると、一抹の寂しさを感じてしまいます。


右:後部(故障がちな排気筒スイッチをいじり過ぎて、近傍パーツの取り合いが悪くなった)

2)「エックスカー」再販プラモデル(イマイ)
「サンダーバード」に実際には登場しなかったメカを、イマイが強引に商品化したことで有名なプラモデルです。オリジナルの初版は1967年に発売され、定価400円でした。私は1974年の再販時に購入しましたが、キャタピラでの前後進に加え、アーム動作の有無をレバーにより機械的に制御するというイマイの技術力に、小学生ながら感心したことを覚えています。1990年代、イマイは多くのプラモデルを再販し経営の立て直しを図ります。「エックスカー」も再販されましたが、無動力での再販となりました。残念ながら2002年にイマイは倒産しましたが、金型の多くはアオシマに移譲され、嬉しいことに新規開発のギヤボックスにより往年の電動ギミックを再現した「電動 Xカー & パイロットセット」が2013年に発売されました。アオシマさんの心意気に拍手です。
さて、アオシマから動力付きで再販されたからいいじゃないかとお思いでしょうが、その前に製作してしまった私の「エックスカー」を紹介します。ちなみにイマイのオリジナル電動「エックスカー」は、「Aucfree」による過去5年間の調査結果によると、以下の様な取引状況となっています(他製品との抱き合わせ出品を除く)。
・未組立品 17件の出品で平均落札価格は約29,000円
・組立済みジャンク品 5件の出品で平均落札価格は6,900円
アオシマによる完全復刻以降、値崩れ気味で初版以外なら15,000円程度で入手可能になりましたが、昔は高嶺の花で5万円以上は覚悟しなければなりませんでした。そうした時代でしたので、いつもの様に廉価な無動力の再販品を入手し、動力化に挑んだという訳です。
まず動力については、いつも通りタミヤの「ユニバーサルギヤボックス」を使用しました。付属のキャタピラはきつくてギヤに負荷がかかるので、キャタピラは別製品に履き替えています。アームの動作は、自作したクランクギヤボックスに依っています。このギヤボックスは、レバーによって若干の上下動が可能で、下ろすとユニバーサルギヤから動力が得られるようになっています。このため、アームの動作はユニバーサルギヤ稼働中、つまり走行中に限られ、オリジナルの様に走行せずにアームだけを動かすことはできません。ここが、プロの仕事との差ですが、製作当時はアオシマによりギミックの完全再現がなされるとは思いもしなかったので、悦に入っておりました。
※見えなくてもきちんとキャタピラを履かせるのがイマイで、見えなきゃコロ走行で良しとする他メーカーとはそもそも志が違う。
3)「G-4号ヘリコバギー」電動プラトイ(万創)
「ガッチャマン」燕の甚平が乗るGメカで、万創からはプラモデルとプラトイの2種類が販売されていました。1972年に発売されたプラモデルは他のGメカが全てゼンマイ動力なのに対し、このG-4号だけが電動で、当時、おもちゃ屋に足繫く通っては箱の中身をうっとりと眺めていましたが、結局、購入には至りませんでした。一方、プラトイはもう少し低年齢層向きだったので、当時はその存在を知りませんでしたが、こちらも他のGメカが(多分)フリクション走行なのに対し、やはり電動となっています。このため、プラモデル、プラトイともに、中古市場ではG-4号が圧倒的な人気で、「Aucfree」による過去5年間の調査結果は以下の通りとなっています。
【プラモデル】(1973年発売のタツノコランド版含む)
・未組立品 5件の出品で平均落札価格は約23万円
・組立済み品(ジャンク品含む) 2件の出品で平均落札価格は約58,000円
・箱のみ 1件の出品で落札価格は21,500円
【プラトイ】
・箱付き完品(一部手直し含む) 3件の出品で平均落札価格は約64,000円
・箱なし品(ジャンク品含む) 5件の出品で平均落札価格は約26,000円
本当はプラモデルが欲しかったのですが、とても手が出る取引価格ではないので、2015年に相場の半値ほどでプラトイを入手しました。入手品はキャタピラがなく不動の上、全体に薄汚れたジャンク品でしたが、何とか補修して走らせようと思いました。まず、錆びついていたギヤボックスは、薬剤により錆落としを行った後、ガスによる焼き入れで防錆処理を施しました。モーターはもちろん、新品に交換しています。キャタピラは、一般的なホームセンターで売っている厚手のゴム板と薄いゴムシートを用いて製作しました。また、ボロボロだったシールはスキャンして、新しく作り直しました。
動画をご覧いただくと分かりますが、復活したG-4号はすごい勢いで走行します。キャタピラ走行ということで唯一電動で販売されたG-4号ですが、人気はもちろん、その走行性能も他のGメカを圧倒しているのではないでしょうか。